コミュニケーション上達法(話す編)

4つの自己表現

先ほどの4つの例は、下記の4つの自己表現の例にそれぞれあてはまります。
それぞれの自己表現の特徴を確認しましょう。

Aを選んだ人:

①攻撃的な自己表現

相手の言葉や考えを無視したり軽く見たりして、相手に自分の意見を押し付けるようなものの言い方をする自己表現のしかたです。このような自己表現では、相手のことを配慮しないで自分のことだけを主張しているので、相手は不快な気持ちになり、ギスギスした関係になってしまいがちです。

Aの例:

「今日もですか!?ようやく一段落したと思ったのに。過労で倒れたらあなたの責任ですからね!」

⇒ 自分の気持ちを一方的に述べ相手の気持ちを考えていない、攻撃的な自己表現といえます。

Bを選んだ人:

②非主張的な自己表現

自分の気持ちや考えを表現しなかったり、できなかったりする人の自己表現です。このような自己表現では、あいまいな言い方をしたり、小さな声で言ったり、自分の気持ちを言えなかったりするので、相手には伝わらずに『わかってもらえなかった』という気持ちや傷ついた感じが自分の中に残ってしまいがちです。このような自己表現をする人には、引っ込み思案で相手を優先し、自分のことは後回しにする傾向があり、ストレスや負担をため込んでしまいやすく、人と付き合うのが億劫になりがちです。

Bの例:

(『そんな、今日こそは帰って休めると思ったのに。でも、上司も大変だろうし自分が頑張らなきゃいけないんだろうな。辛いなぁ。』と思いつつ)「・・・分かりました。何をすればよろしいでしょうか?」

⇒ 相手の気持ちを考えてはいるが、自分の気持ちを犠牲にしている、非主張的な自己表現といえます。

Cを選んだ人:

③非主張的かつ攻撃的な自己表現

自分の考えや気持ちを言葉で直接表現せずに、受身の対応をするものの、②の非主張的な自己表現とは違って、受け身の対応の中に攻撃性をともなうような自己表現のしかたです。相手とのコミュニケーションの場では一見非主張的にみえますが、内心は相手を責めたり、ふてくされたような態度をとったり、嫌々相手にしたがう、など、間接的に相手に反抗するような態度をとりやすく、結果的に相手も自分も不快な気分になってしまいがちです。受身の対応でありながら、心の中では相手を責める気持ちが強い人に見られやすい自己表現です。

Cの例:

(『人の気も知らないでよくそんなことが言えるな。お前のマネジメントが悪いから部下の負担が増える一方なんだよ。こっちはこんなに頑張ってるっていうのに。これでうつになったら絶対お前のせいだ。』と思い、態度や表情に不快感を示しつつも)「…はい。」

⇒ 相手を責める気持ちが強い反面、自分の気持ちや考えも表現せず、自分も相手も大事にしていない、非主張的かつ攻撃的な自己表現といえます。

Dを選んだ人:

④適切(アサーティブ)な自己表現

自分も相手も大切にしようとして、自分の意見や考え、気持ちを正直にその場にふさわしい方法で伝えようとする自己表現の仕方です。相手と自分がそれぞれお互いの意見を出し合って、譲ったり譲られたりしながら、お互いにとって納得のいく結論を出そうとし、お互いが率直に話をすれば、自分の意見に相手が同意しないこともあるし、相手の意見にいつも賛同できるとは限らない、ということを分かった上で、歩み寄りの精神を持ってお互いを大切にすることを心がけた自己表現といえます。

Dの例:

「ここ最近深夜まで残業が続いていたこともあり、今日はあまり体調が良くありません。明日であれば可能ですので、今日は帰らせていただけないでしょうか。もしくは、本日でも19時頃までなら可能かとは思います。」

⇒ 相手の気持ちに配慮した上で、自分の気持ちも伝えている、適切な自己表現といえます。

以上の特徴を踏まえて、あなたの普段のコミュニケーションはいかがでしょうか?

特に、コミュニケーション上でのストレスが多いと感じている人は、上記のうちの①~③のどれかを使うことが多くないかを振り返って確認してみてください。

言うまでもなく、コミュニケーション上もっとも有効な自己主張は④の“適切な自己表現”であり、この方法を自在に使えることがコミュニケーションスキルのアップにつながるといえます。