まとめ

以下に、コミュニケーションにおける要点をまとめます。人間関係の問題は主要な職場のストレス要因であり、対応できるようにしておいて損はありません。また、そのために必要となるのコミュニケーション力は能力ではなくスキルなので、練習すれば、誰でも上達します。これまで学んできたことを踏まえて、ぜひコミュニケーション力アップに取り組んでみてください。

コミュニケーションは相互作用

うまくいっていない(ストレスのたまる)人間関係について、『自分のコミュニケーションは悪くない。相手の物言いや態度が悪いのだから、自分が努力しても仕方ない』とおっしゃる方がいます。実際には、『完全にどちらか一方が悪い』というケースは少ないのですが、仮に相手が悪かったとしても、自分のコミュニケーションのしかたを変えることで相手に変化を起こさせることは可能です。

コミュニケーションは相互作用であり、こちらのコミュニケーションが変わればそれを受けての相手のコミュニケーションが変わる可能性は十分あります。例えば、相手に前述の4つの自己表現のそれぞれを自分がされたと想像してみてください。どの自己表現かによって、自分の反応も多少変わりそうだなと想像できるのではないでしょうか。

ロボットを操作するように相手のコミュニケーションを直接変えることはできませんが、自分のコミュニケーションのしかたを通して間接的に相手に変化をもたらし、お互いの関係性を改善することは十分可能ですので、できる範囲で構わないのであきらめてしまう前にトライしてみましょう。

コミュニケーションのズレを少なくするように心がける

人は一人一人違う考え方や物の見方をしています。これは、どんなに仲の良い、分かりあえている間柄においても言えることで、『お互いの考え方や感じ方がとても似ている』ということはあっても、『どんな状況でも常に相手が自分とまったく同じ考え方をする』ということはありえません。仮に、『以心伝心』や『ツーカーの仲』というような関係があるとすれば、それは過去の長い時間の中でのお互いのコミュニケーションや経験の共有から生まれる『精度の高い推測』です。そして、そのような『推測』に頼りすぎてしまうところから、コミュニケーションのズレは生じがちです。

コミュニケーションで大切なことは、『相手と自分は違う』との前提のもとに、『少しでも相手との共通理解を増やすには』という視点から、相手の話を聞いたり自分の話を伝えたりすることです。それには、相手の話を自分の枠組みだけで解釈せず、“なぜ相手はそう思ったのか”を理解するために話を聞く姿勢や、“どう伝えれば相手に理解してもらえるだろうか”という視点での伝え方がとても重要となります。小さなズレを放っておくと、それが次のズレを生み、その後の大きな誤解やすれ違い、対立や衝突につながりかねないので、『相手の事は十分理解している』、『こちらの意図は十分伝わっている』などと思い込まずに、こまめにお互いの認識や理解を確認するよう心がけましょう。

コミュニケーションはスキルなので、練習すれば誰でも使える

コミュニケーションの上手下手は、生まれ持っての才能ではなく、これまでの人間関係の中で身に付けたスキルの程度の差である、という考え方が一般的です。つまり、コミュニケーションが苦手だったり上手にできないのは、能力の問題ではなく、そういう場面に慣れていない、スキルが身についていないだけなのです。コミュニケーションは練習すれば誰でもある程度上達可能なので、人づきあいが苦手な人や、職場の人間関係でストレスをためやすい人などは、聞き方の練習や話し方の練習をしてコミュニケーション力をアップさせましょう。

スキルの使用は自分の選択

コミュニケーション力のアップに取り組むことはとても重要ですが、必ずしもこれらのスキルを使わなければいけないわけではありません。しかし、その選択にともなう結果は「自分の選択の結果」として受け入れる必要があります。自分が『言わない』と決めたのなら、言わない結果起こったことは自分の選択の結果であり、それで相手だけを責めることは適切ではありません。自分が『言う』と決めた場合の結果も同様です。とはいえ、スキルがあるからこそ、そのスキルを使う使わないの選択ができるのであり、スキルが足りなければその選択さえできないので、コミュニケーションスキルのアップには取り組むようにしましょう。

すべての人と仲良くなる必要はない

自分の周りのすべての人と仲良くなる必要はありません。家族、友人、職場の同僚、上司など、相手に応じて自分の望む関係性や親密さの度合いは違うでしょうし、『この人とはもっと仲良くなりたい』と思う人もいれば『この人とは今の距離感で十分』と思う人もいるでしょう。逆に『みんなと仲良く』と思うことで関係がうまくいかなくなったり、自分自身に負荷がかかりすぎて疲れてしまうこともあります。『自分はその人とどういう関係を築きたいのか』を大切に、これまで学んだコミュニケーションの技術を生かして下さい。とはいえ、関係が悪いよりは良いにこしたことはありません。関係が悪くてストレスがたまるのであれば、関係改善に向けて自分なりの取り組みをすることは必要といえます。

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